<植物の概説>
原産地は南米ペルーです。アンデス山脈の高原、海抜4000メートル以上の高地に古くから自生する、アブラナ科の植物です。ニンジンとダイコンに近い根菜類で、かぶのような形をしています。
マカが育つアンデス高地は空気中の酸素もすくなく、一般的には高山病になってしまうようなところです。当然、気候はきびしく、昼夜の温度差のはげしい、過酷な自然環境です。
このような環境下ですから、樹木がほとんど育ちません。しかし、植物に栄養分を吸収されていないため、土地は豊かで、亜鉛をはじめとするミネラルがたっぷりふくまれています。
豊かな土壌と太陽の恵みをたっぷり浴びて、マカは豊富な栄養をたくわえて成長します。マカを一度栽培すると、その土地は数年間不毛になります。大地のあらゆる栄養素をマカが吸い上げるからです。
<伝承例>
インカ帝国の時代には、マカに関するさまざまな話が残されました。興味深いのは、結婚前の若者はマカを食べるのを控えるべきとされていたことです。これは、若い男女がマカを食べると性欲が旺盛になりすぎて、結婚前の性的な関係が乱れると考えられていたからです。
また、マカは古くから王侯貴族の貴重な滋養食とされてきました。さらに、兵士たちの間では強精食としても珍重されてきました。戦いの後には、功績のあった人物や権威をみとめられた部族にマカが与えられたといわれています。
一方で、戦士がマカを食べることを禁じていたという話もあります。マカの食べすぎで精力がつきすぎ、侵略地の婦女子を襲うおそれがあったからです。
また、スペイン軍がインカ帝国を征服した陰に、マカを馬の活力源として利用したという話もあります。インカの地を侵略して植民地を広げていくには、どうしても馬が必要でした。そのためスペイン軍は、ヨーロッパから馬をたくさん連れてきたのです。
ところが馬たちは当初、それまで経験したことのない厳しい自然環境になじめず、仔馬を産む前に死んでしまうこともありました。困ったスペイン軍は、アンデスの人々がマカを飼料にもちいて家畜を繁栄させていることに目をつけました。そこで馬たちをマカの畑に放ち、マカを食べさせたところ、馬の精力はよみがえり、以前にも増してさかんに繁殖するようになったというのです。
インカ帝国の人々にとって、馬は驚異の動物でした。初めて馬を目にしたインディオたちは、その巨大な体と野を駆ける能力に圧倒され、馬を見ただけで戦意を喪失したといいます。ついにはスペイン軍に降伏し、帝国を明け渡したのです。
植民地時代の記録によると、当時、家畜飼料として約9トンのマカが取り引きされた記録が残っています。歴史家たちの間では、「スペイン軍がインカ帝国を征服できたのは、まさにマカのおかげである」とさえいわれているのです。
<含有成分>
マカは、その栄養のすばらしさから「完全食」ともいわれており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸がぎっしり詰まっています。
・ミネラル(亜鉛・セレン・鉄・カリウム・カルシウムなど)
・ビタミン(ビタミンC・ビタミンE・ビタミンB群など)
・アミノ酸(アルギニン・バリン・ロイシン・イソロイシンなど)
・その他(アルカロイド・デキストリン・サポニンなど)
特に、人間が生きていく上で最も大切な栄養素であるアミノ酸が、バランスよく含まれているのがマカの特徴です。
<効果・効能>
マカの最大の特徴は性機能を高めることです。男性であればED(勃起障害)や男性不妊の改善に役立つことが挙げられますし、女性の不妊や更年期障害の改善にも役立ちます。いずれの疾病も決定的な治療法が見つかっていない中で、マカの飲用で恩恵を受ける例がふえているのです。
<伝統的使用法>
1. 滋養強壮
インカ帝国の時代から、マカは精力増強に用いられてきました。
不妊で悩む夫婦が全国で100万組いるといわれるなか、不妊の原因は男性側、 女性側の両方にあり、ほぼ同数ともいわれています。
不妊を治す特効薬的なものがないのが現状ですが、マカの飲用によって恩恵を受ける例が増えています。「自然治癒力」を高めて、あくまで自然に不妊症を改善していくマカの力が注目されているのです。
▼男性不妊
男性の不妊の原因は、ED(インポテンツ)などの性交障害や、精子の数が少なかったり、精子の異常で運動量が足りないために受精できないことなどです。
マカにふくまれるアルギニンは、男性の生殖細胞の80%を構成し、これが生殖器官を刺激してくれます。また、マカにふくまれる亜鉛も、男性の性機能と密接に関係していることが分かっています。
▼女性不妊
アミノ酸の母とよばれるリジンには、女性ホルモンのエストロゲンの分泌を促進するはたらきがあります。エストロゲンは女性にとってたいせつなホルモンです。
不妊で悩む女性には、このエストロゲンの分泌がうまく行われていないために月経異常や、まったく月経のない無月経症を起こしている人が多くみられます。リジンやアルギニンを十分に摂取すれば、生殖器官のホルモンの活動が活発になり、妊娠しやすいからだの環境がととのえられるのです。
2. 更年期障害の緩和
マカのミネラル・アミノ酸がホルモンバランスを正常化します。
▼男性の更年期
マカにふくまれる質の高い必須アミノ酸、ミネラル等の有効成分が、脳下垂体にやさしく働きかけることで、ホルモンの過不足が調節されます。つまり人間本来の最適なホルモンバランスに近づくことができ、これによって更年期のつらい症状が緩和されるのです。
さらにマカの成分は免疫系・自律神経系にまで好影響をあたえることが分かっており、医療の現場でもマカの飲用を勧める例が増えてきています。
▼女性の更年期
40代前半、遅くても50代の前半になると、女性の体からエストロゲンという女性ホルモンが急激に減少し、さまざまな体調不良をひき起こします。これが更年期障害です。エストロゲンは自律神経をはじめとするさまざまな器官にはたらきかけているため、更年期障害の症状は多岐にわたります。
マカにふくまれる鎮痛効果のあるカルシウムや、鉄、銅などの各種ミネラル、アミノ酸は、相乗作用によってホルモンバランスを正常化していくと考えられています。
3.老化防止
ビタミンEとアルギニンが老化を防ぎます。
▼老化を防ぐビタミンE
マカにふくまれるビタミンEは、身体をサビつかせ、老化を促進する原因となる活性酸素と闘います。
▼成長ホルモンを増やすアルギニン
成長ホルモンは人間の生命活動のなかで最も重要なホルモンで、若返りに大きくかかわります。 年齢とともに減少していきますが、アルギニンはこの成長ホルモンの分泌を促進し、筋肉や皮膚、骨、血管などの老化を防ぎます。
4.脳の活性化
脳を活性化し、集中力を高める!
▼集中力を高めるチロシン
脳を覚醒させ、集中力を高めるドーパミンの原料となるのがチロシンです。マカにはこのチロシンがふくまれています。
▼脳を活性化するビタミンB12
脳の機能を活性化する重要な栄養素がビタミンB12といわれています。ビタミンB12は、脳のなかで記憶と学習にかかわるアセチルコリンを活性化して、神経伝達をスムーズに行うはたらきがあります。マカにはこのビタミンB12がふくまれています。
▼脳のエネルギー源となる糖質
脳は糖質を唯一のエネルギー源にしていて、エネルギーが不足しないように、血液中にふくまれる糖はつねに一定になっています。糖が不足すると脳のエネルギー不足となり集中力が欠けてきます。
マカにはこの糖質が多く含まれています。また、マカの糖質は天然の果糖とブドウ糖が中心ですので、血糖バランスをくずすこともありません。
5.疲労・ストレスの緩和
マカはストレス解消、疲労回復に有益なビタミン・ミネラルを多く含んでいます。ビタミンB群やビタミンE、カルシウムなどには、自律神経を強化し、ストレス耐性を高めてくれる作用があります。
また、マカにはアミノ酸の1つであるグルタミンも含まれています。グルタミンは血液中の乳酸濃度を中和し、すばやい疲労回復を実現します。
最近のEDや不妊増加の原因の一つとして、ストレスの増大があると専門家は指摘しています。ストレスは現代社会に生きているかぎり簡単に解消するのはむずかしいことですが、ストレスに耐える力を強くすれば、多少のことではビクともしなくなります。
マカにふくまれるビタミンB群やカルシウムなどは、このストレス耐性を強化するのに最適な栄養成分なのです。