<植物の概説>
カム・カム(Myrciaria dubia)は、グアバと同じくフトモモ科の植物で、現在地球上で知られている植物の中で最も多くビタミンCを含むとされる植物です。そのビタミンCの量は、レモンの約60倍。美容に健康に、大変嬉しい果物です。
カム・カムのふるさとはペルーのアマゾン川流域(Ucayali, Loreto, Madre de Dios)で、標高200m程度の熱帯地帯の湿地に自生しています。それよりも下流のブラジルの方に行って標高が低くなると、カム・カムの自生数も減ります。ですからアマゾン川流域といっても上流のペルーアマゾンの周辺です。
成木になるまで8年かかります。カム・カムが生息する地域は洪水の頻繁に起こる水の多い地域で、洪水によって4~5ヶ月間水の中に木が沈んでしまうこともありますが、カム・カムの木がこれで枯れることはありません。収穫期はアマゾン地域が雨季となる12月から3月です。果実は直径2~3cmで、熟すと実の表面が真っ赤、果肉がピンク色になります。
<伝承例>
ペルーでは古くからジュースにして飲まれており、風邪や肌荒れの予防・肥満・糖尿病・高血圧などに良いとされてきました。冷凍濃縮果汁の形態で日本輸出されるカム・カムはジュースだけでなく、カプセルやパウダーの形で健康食品に加工されています。また、カム・カムにアセロラ・ローズヒップなど他のハーブをブレンドしたサプリメントもあります。
<効果・効能>
カム・カムには、世界一の含有量といわれる豊富なビタミンCが含まれています。
ビタミンCは、美肌には欠かす事ができない成分で、皮膚にはたくさんのコラーゲンが含まれていますが、ビタミンCが不足すると生成されなくなって肌のきめが粗くなり、ツヤやハリもなくなります。
また、ビタミンCはシミやソバカスの基になる、メラニンの生成も抑える働きがあるので、カム・カムでしっかり補給しましょう。
カム・カムには、このほかにもクエン酸が豊富に含まれているので、疲労回復にも効果があります。
<ビタミンCの特徴>
カム・カムの主要成分であるビタミンC(L-アスコルビン酸)は、ビタミン群の中では唯一水溶性で、過剰に摂取しても体内に残留されないため、他のビタミンやミネラルと違って過剰摂取による弊害がありません。しかし、体内に貯蔵できず、摂取後2~3時間で排泄されるので、3食でしっかり摂る必要があります。水洗いや調理加熱するとビタミンCは減ってしまい、また空気に触れただけでも壊れてしまうため、切ったりむいたりしたままの保存にも注意しなくてはいけないというデリケートな栄養素です。調理による損失が約50%といわれますから、多めにとることが求められます。一日に必要なビタミンCは100mgです。
<含有成分>
ビタミンCの含有量が多いだけあってとてもすっぱい果物でそのまま食べるのは難しいですが、甘みをつけてジュース・アイスクリーム・ジャムなどに加工されます。ビタミンCの他にも、ビタミンB1・ビタミンB2(オレンジの2倍)・ナイアシン(オレンジの3倍)・カルシウム・リン(オレンジの1.5倍)、その他の各種ミネラル、そして疲労回復や老化防止に効果があるとして注目されているクエン酸も多量に含みます。
<カム・カムの普及活動>
カム・カムが自生するペルーアマゾンは、コカ栽培で知られているところです。貧しい農民たちは市場価値の高いコカを栽培して生活することを余儀なくされていますが、それらは加工されて麻薬のコカインになり、密売業者の手を経て海外に流出し、世界的な問題になっています。
そこで政府は1990年以来、コカの代わりにカム・カムを植え、ペルーの主要産物として輸出しようと、接木苗によるカム・カム栽培を奨励しています。また、アマゾン川流域では森林伐採による地球温暖化や砂漠化の問題がありますが、カム・カムの栽培が少しでもこの流れに歯止めをかけるのではないかとペルー政府だけでなく、世界の自然保護団体もカム・カムの栽培に注目しています。
カム・カム協会ペルー本部は、このカム・カムの苗を育てて農家に配り、果実を買い取っています。農民は現金収入を得て、子どもたちの教育費やきれいな洋服の購入にあてられます。より安定した収入が得られ、平和な生活を送ってほしいとの願いを込めて支援活動に取り組んでいます。
カム・カム協会は、貧しい農民が少しでも平和で豊かな生活が送れるようにと活動の輪を少しずつ広げています。カム・カム製品がたくさん売れれば、カム・カム栽培が増えて収入を増やせます。アマゾン上流域の農家が潤うのです。